「行った、銀輪走(走った)、見た、知った」……そして残った

サイクリングで駆け巡った彼との45年間

5.特に印象に残っている全都道府県の思い出[2]秋田県山形県

彼と走った思い出は枚挙にいとまがないが、特に印象に残っているものを紹介したい。

 

(3)秋 田 県

2014年7月23日。

秋田市の赤れんが郷土館を出発しようとすると、同館のボランティアの方から これからの予定を尋ねられ「今日の午後、秋田からJRで帰ります」と答えると、「県立美術館に藤田嗣治が秋田を描いた絵が有るから、都合がつくならこれだけは見て帰って欲しい」と言われ、特に期待もせずに向かう。

 

美術館には自転車を置けるような場所も駐輪場所の案内も無く、私を入口の横に立て掛けて入館。

 

エレベーターで3階に上がり展示場に入ると、下手に目に入る巨大な絵に圧倒され感動して見惚れるばかり。

2階に下りて展示フロアーから見上げるように見ても やはり凄い迫力。

薦められた絵は藤田嗣治が描いた『秋田の行事』だった。

 

このほか、藤田嗣治の作品が多く展示されている見ごたえのある美術館で、ボランティアの方の声掛けがなかったら行く事は無かっただけに感謝しており、その後 彼は家族や友人を連れ2回訪れている。

彼 曰く「秋田市に行かれた際には県立美術館に足を運ばれ、是非とも『秋田の行事』だけは見て帰っていただきたい」。

 

ちなみに、彼が鑑賞している間に私には「駐輪禁止」の警告紙が貼られており、出てきた彼は予想外の出来事に驚くと共に、「駐輪場の案内があれば」とつぶやいていた。

赤れんが郷土館(2014.07.23)

秋田県立美術館(※2018.06.30撮影)

(4)山 形 県

彼の最も好きな山は鳥海山

 

高校2年の英語の時間。

授業時間は「授業に関すること以外は一切話さず、冗談はもってのほか」という担任のY先生が、どういう風の吹き回しか夏休みに行った「山形県の飛島」の話を始め、島の良さに加え、島から見た鳥海山の素晴らしさを特に熱く語って、授業をすること無く時間を終えた。

 

彼はこの時に聞いた事が忘れられず、この風景を見るため47年後の2018年10月に旅程を組み渡島。

島に立って長大な裾野を広げて そびえたつ姿を目にした時、授業時間に聞いたとおりの眺めに感動していた。

 

彼は、先生には2年間習ったが、授業以外の話をしたのはこの1回のみとの事。

飛島から見る鳥海山(2018.10.18)

なお、鳥海山については1980年5月4日、秋田県象潟町から鳥海ブルーラインを通って山形県に抜ける予定で走った時は、頂点に着くもその先は積雪で通れず。

 

道路管理の方に尋ねると「この先3㎞程はスキー客のためゴールデンウィーク明けまで除雪しない」と教えられ、苦労して登った同じ道をアッという間に下った事が思い出される。

除雪しない理由は「除雪してあった事により、春スキー客の死亡事故が発生したため」だそうだ。

それでも彼は、「雪の壁」に挟まれた道路を走れたことを非常に喜んでいた。

 

ちなみに、事前に秋田・山形両県の観光担当課に照会した際には、何れも通り抜け出来るとの回答だったとの事。

鳥海ブルーラインの頂点から見る鳥海山(1980.05.04)※秋田県

鳥海ブルーラインの雪の壁(1980.05.04)※秋田県